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  • Maki Yamamura

翻訳を外部委託する際の注意点

更新日:10月7日

― 満足できる翻訳品質をリーズナブル、短納期に得るための5つのヒント ―


インターネットが世界をつなぎ、グローバルなコミュニケーションが加速度的に高まりを見せる中、翻訳という要素が求められる分野はいっそう広がりを見せています。今や規模の大小や種類を問わず、どのような業態、業種でも、世界各国との交流がビジネスチャンスとなることは否めません。


製品のカタログや取扱説明書だけでなく、作り手の思いや会社・お店の歴史を発信したい場合、さらに海外の動向を知りたい場合、相手と契約を結ぶ場合など、業務で外国語から日本語への、あるいは日本語から外国語への翻訳が必要になるシーンは数えきれないほどあります。


では実際にこのようなニーズが生じた際、まずどのような対応が求められるでしょうか。

会社や組織の中に専門の部門がある場合にはそこへ依頼すればよいでしょう。しかし無い場合には、自分で翻訳するか、そうでなければ社外の翻訳会社への発注を検討されると思います。


最近では機械翻訳や自動翻訳の精度や機能も上がってきているため、これを使用して自力で、というケースも多くなってきているかもしれません。しかし、やはり重要な文書や顧客向けの内容の場合には、自分で翻訳した内容には品質面で不安が残ることもあるかと思います。


カタログや商品説明の場合、翻訳内容は製品品質の一部となり、お客様に与える製品の印象を左右します。また海外の規格書や仕様書、契約書などの場合、翻訳が不完全なために曖昧な理解のままでいると、思わぬリスクとなる可能性があります。こうしたリスクを防ぐ目的で、専門の翻訳会社へ翻訳を委託する、というケースも多いでしょう。


今回はそうした、「外部へ翻訳を委託する場合」に、発注者として気を付けるべき「5つの注意点」をご紹介します。翻訳対象の文書の種類(文献、契約書、技術資料など)によっても多少の違いはありますが、今回はすべてに共通する全般的な注意点をご紹介します。


注意点1: 翻訳したい原文の用途や背景事情を翻訳会社に伝えましょう

ひとくちに「翻訳」といっても、その目的はさまざまです。内容を把握するために海外の文献や使用説明書の和訳が必要となる場合と、現地で配布する商品の販促資料を翻訳する場合とでは、表現方法も推敲量も異なります。


お客様からはよく、「30ページの説明書ですが概算コストはどれだけですか?」とか「どれだけの時間がかかりますか?」と質問されます。発注する側として気になるのはもちろん納期とコストなのですが、実はこれにも増して重要なのが、「何の目的で翻訳するか」ということなのです。


なぜならそれによって、求められる作業内容、仕様、コストが変わってくるからです。


たとえば同じような英訳の仕事でも、アメリカ現地のバイヤー向けなのか、日本に在住の(アジア人を含む)外国人向けなのかによって、使用すべき表現は大きく変わります。


和訳でも、そのまま書式を付けて運用したい内容なのか、社内回覧用なのかによって、翻訳の仕様が変わってきます。


十分に時間をかけてでも他社に勝る魅力的な表現で仕上げてほしいと思っているお客様と、週明けの会議までに内容を把握したいから、多少粗くてもとにかく1時間でも早くスピーディに納品してほしいと思っているお客様とでは、目的や期待値は異なって当然です。


しかしこれを翻訳会社が知らずに作業すればどうなるでしょうか。顧客の満足度は下がること間違いなしです。


発注時にはぜひ、希望の予算や納期だけでなく、「何のために翻訳が必要か」を熱く語ってください。そしてその仕様目的に対して十分に提案してくれる翻訳会社を選択することをお勧めします。


そうすることで、お客様の求めるクオリティの翻訳が、結果的にコストダウンや納期短縮を伴って得られることとなります。


注意点2:翻訳箇所を明確にしましょう


翻訳する文書の目的が明確になったら、次に文書中のどの箇所について翻訳が必要なのか、対象箇所を明確にしましょう。これによって翻訳料金のコストダウンが可能になります。


多くの翻訳会社の翻訳料金は原稿あるいは翻訳後の文字量を基本としています(京あはせでは原稿の文字量を基本に料金計算しています)。


つまり、同じページ数でも、文字量によって翻訳料金が変わります。全文書について翻訳が必要と考えていても、たとえば参照用であればヘッダーやフッターは翻訳する必要がない、また数値・記号だけが含まれている表は翻訳不要、など、意外と翻訳しなくてよい箇所が多く含まれている場合もあります。


また逆に、イラスト内の文言で、編集できない絵図の中の文字でも翻訳が必要な場合もあるでしょう。


翻訳が必要な箇所を精査し、「どこを翻訳したいか」という内容を明確に伝えることができれば、精度の高い見積金額が得られます。


さらに、「ここも翻訳が必要だった」と後で追加発注する必要もなくなり、本来必要の無いコストと時間をカットすることで、結果的にコストダウン、短納期につながります。


注意点3:(日本語からの翻訳の場合)発注前に日本語原文を読みましょう


日本語から外国語への翻訳を希望する場合には、ぜひ日本人ネイティブである発注者のみなさんが、発注前に原文を読んでいただくことを強くお勧めします。


その際には、「これが外国語になった場合、違和感や矛盾がないか」ということを気にしながら読んでください。とかく自然に書かれている原文というのは、その原文を母国語とする人、つまりネイティブにとっては疑問を持ちにくいものです。長年運用し続けてきた文書であればなおさら、改めて読んでみるという作業をしないまま、「翻訳が必要」な文書として翻訳を発注してしまうこともよくあるかと思います。


しかし実際には、「翻訳」という作業を通じて、原文の矛盾や誤り、修正点が見つかるケースが驚くほど多いのが実情です。


できあがった翻訳を見て、「翻訳文を修正したい(なぜならそもそも原文を修正したいから)」というご要望をいただくお客様が実に多いです。


ただし、翻訳作業を開始してしまってから原文を修正すると、さらにその修正分に対する翻訳作業が必要となり、納期やコストが予定や予算を超過してしまう原因となりかねません。


「よく読んでみればここは違う表現の方がよかった」、「一部誤りがあった」、ということが無いよう、ぜひ事前によく原文を読んでいただき、必要な修正や改訂があれば済ませてから翻訳を発注いただければと思います。


注意点4:参考資料や流用したい文書、指定表現があれば準備しましょう


多くの場合、翻訳したい文書にはすでに過去に翻訳していた類似の文書がある、あるいはお客様内で使用される固有の表現や用語が含まれている、という状況が一般的です。


また、国内から発信する内容、国外から取り込む内容を問わず、これから翻訳という処理を行って共有したい内容に「専門的な」内容が含まれていることはむしろ当然なことと言えるでしょう。


そうした「固有表現」、「参考資料」、「流用文書」、がある場合、ぜひ事前に翻訳会社へ相談ください。社内に用語集などがある場合にはもちろんご提供ください。


実はこの「参考資料」には落とし穴もあるのですが、それはまた別のブログで紹介します。


これらを伝えなくても翻訳作業は可能ですが、「同じ意味でも使用する言葉が違う」場合に発生する違和感は、お客様の満足感を大きく損なうものとなります。


言葉というものは誰でも使用できるものですが、だからこそちょっとした表現や言い回しの異なりで差異を感じさせるものです。


社内でこれまで自然に長年使用されている表現や用語(社内用語)は、専門的なものはもちろん、一般的なものであっても踏襲する配慮が必要です(日本語での簡単な例なら、「打ち合わせ」か「打合せ」、「コンピューター」か「コンピュータ」など)。企業によって用語が規定されている場合や、新聞社やMicrosoft, Googleなどの用語・用事例を踏襲されたい場合もあるかもしれません。


そうした細かな希望もぜひ、翻訳会社に伝えてください。これによって、社内のこれまでの翻訳物との統一感や、表記の一貫性から生まれるクオリティなど、大切なポイントを実感いただける、満足感のある仕上がりとなります。


注意点5:(レイアウトが必要な場合)レイアウトチェックを検討しましょう


「レイアウトチェック」とは、翻訳テキストにイラストやレイアウトを施した後、あるいは元原稿のテキスト部分に翻訳テキストを流し込んだ後に行う最終チェックのことです。


この「レイアウトチェック」は組版を担当するオペレータや、発注者にて行われることが多いのですが、ここでお勧めするのは「翻訳者(またはネイティブチェッカー)が行うレイアウトチェック」です。


原文のライタ、翻訳者、組版オペレータがそれぞれ別々に作業を行う現場では、最終的にデザインレイアウトと翻訳テキストを組み合わせたときに、想定していない問題が起こる可能性があります。


たとえば原文のレイアウトでは横にあったイラストが訳文のレイアウトで上側にくるだけで、「左記の(left)」は「上記の(above)」と変更が必要となります。また、日本語ではページ内に収まっていた文章が、翻訳された英語が膨らんだために文字を小さくしなくてはならなくなるケースもよくあります。この場合、翻訳者なら別の短い表現を選ぶという選択肢を使用できますが、この選択肢が無いと、文字を小さくする、行間を狭める、などの方法に頼るしかなくなります。


イラストを見ずに文字だけで翻訳作業を行った場合には、さらに深刻な問題の可能性があります。たとえば英文の実機画面の内容を見ずに機器の使用説明を翻訳した場合、存在しないメニューやボタンの名称が掲載された説明書になる、というリスクが起こります。


このような問題やリスクは、翻訳テキストをレイアウトした後、翻訳会社が再度チェックを行うことで解決することができます。納期などの問題で難しい場合もありますが、よりよい品質のために検討いただきたいポイントです。



まとめ


上述したヒントを知らずに翻訳を発注すると、納品された翻訳文が、自身の思っていた内容や表現と違う、想定していた目的に合わない、などの理由で、納品後に翻訳会社へ再度修正を依頼したり、あるいは社内での手直しが発生したりして、結果として納期に間に合わなくなる、想定していたコストを超過してしまう、といった事態になりかねません。


何より、コストをかけて発注した翻訳業務が満足のいかない内容で仕上がってくるのは本当にもったいないことです。


ぜひ発注前にご留意いただければと思います。


ただ、これらすべてを網羅するのが難しい、あるいはそのような時間や手間がない、ということも、実際には多くあるでしょう。その場合には、まずお気軽にご相談ください。私たちがお客様のご事情に親切に寄り添い、これまでのノウハウを基に、個々の案件に最適な進め方をご提案いたします。


翻訳に関するご相談やお見積もりの依頼は、こちらまでどうぞお知らせください。
電話:075-634-8693
このアーティクルを書いた人:山村麻紀(代表)